フィンランド人のヨハン・オリンと韓国人のアーム・ソンによるCOMPANYは、フィンランドにスタジオとショップをもつデザインデュオです。しかし、彼らが見ている世界はフィンランドには留まりません。アーティスト、デザイナー、職人として幅広く活動する彼らは、世界各地を2人で旅し、地域に古くから伝わるプロダクトを生産する工場や職人を訪ね、その体験やインスピレーションをもとに遊び心と豊かなイマジネーション溢れる独自の製品を生み出しています。
自然光の差し込む明るいヘルシンキのスタジオで、アームとヨハンは、絵を描き、色を塗り、生地を縫い、粘土をこねて型を作ります。時には飼い犬のヤヤとともに近くの海岸を物思いに耽りながら何も話さずにただ歩く、そのような時の中で、彼らのものづくりは静かに密やかに進んでいきます。「あなたのおしゃべりが止まる時」アームとヨハンは言います。「それは、あなたがもの凄い速さで何かを吸収している時だよ」。彼らにしか生み出せない美しさと可愛らしさが滲む製品たちは、そうして生み出されていきます。
彼らの夢が、ヘルシンキを越えた遠く遥か彼方へと、彼ら自身を連れ出します。アームとヨハンは、2人らしい新しい世界周遊の目的を見出し、その道々で更なるインスピレーションを拾い集めています。エストニアからロシア、アメリカ、韓国、そして日本まで、その地域に古くから伝わるプロダクトを生産する工場や職人を訪ね、彼らの技術と専門知識をもって新たな製品を生み出すという「シークレットプロジェクト」を行っています。彼らは、地域の歴史や文化に潜み息づいてきた秘密を形にし製品へと落とし込んでいきます。「旅をしていると、その国に、街に、自然に、その国の物たちに恋に落ちてしまうことがあるんです。もちろん、人にも。」
アームとヨハンの旅はまるで宝探しのようです。 彼らは発見した新しい何かを紐解き再解釈するプロセスを続けています。次に何を見つけるのかわからない、そんな状況にあっても、彼らの才能と技術は彼らの想いと発見を容易に具現化していくことができます。訪れた国は、次に行くべき場所を指し示します。
しかし、彼らにとっての帰る場所は、やはりヘルシンキなのです。そして、COMPANYとアルテックによる「FIN/JPN フレンドシップ コレクション」はこの地から生まれました。フィンランドと日本が外交関係を結んだ100年前の1919年、フィンランドの代表は日本にどんな贈り物をしたのでしょうか。アームとヨハンは、この問いかけをヒントに、FIN/JPNフレンドシップコレクションにラインナップされる製品を考案しました。
「フィンランドは豊かな自然、素晴らしい街並や建築、そして優れたデザインに恵まれた国です。しかし、祖先の古くからの記憶を受け継ぐ慣習やそれを伝える民芸品は、実は多くありません。そのような慣習的な儀式は、森の奥や湖のほとりでひっそりと行われているため、旅行者はほとんど目にする機会がないでしょう。」とアームとヨハンは語ります。深い考察を重ねた末に、彼らはセラミック製小物のシリーズを作ることにしました。100年前から伝わるフィンランドの文化と民話に焦点をあてながらも、自然崇拝という日本とフィンランドに共通する伝統を映し出すこのシリーズは、オブジェとしての面白さと機能性を兼ね備えています。
ヴァイヴァイスッコ 貯金箱、夏至の魔法ベース、ルチアキャンドルホルダー、ルチウスキャンドルホルダー、イースターウィッチベース、イースタードッグベース、これら6つの陶器は、フィンランドの季節を祝う行事をもとにデザインされています。伝統と自然への深い考察、そして遊び心と想像力にあふれるカンパニーのデザインは世界から注目を浴びています。彼らの作品は、フィンランドのデザイン美術館、エスポー近代美術館(EMMA)、ヘルシンキ市立美術館(HAM)、アイスランドのデザイン美術館の常設コレクションとして所蔵され、2017年にはニューヨークのアートギャラリーStorefront for Art and Architectureで個展を開催しています。