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アームチェア 45

「ルイ・カレ邸」の物語:友と共有する大切な家

MLC Jari Jetsonen

「ルイ・カレ邸」は、パリから西へ車で1時間の距離に位置する、バゾシュ=シュル=ギヨンヌの丘の上にあります。アルヴァ・アアルトとエリッサ・アアルト、アルテックのインテリアチームが設計とインテリアデザインを手掛けました。他のアアルト建築とは異なり、素材、テキスタイル、家具までのほぼすべてが特注で作られた個人住宅です。

アアルト夫妻がこれほどまで自由にデザインできたのは、パリのアートコレクターであったルイ・カレとの親密な友好関係のおかげです。ルイ・カレは「私は、アアルトに完全な自由を与えました。そして彼が提案した素材から比率にいたるまですべてのことが、この上なく魅力的でした」と語っています。

MLC Å Frederik Vercruysse

見せるための空間、暮らすための家

「ルイ・カレ邸」は、第三者に公開して「見せる」目的と、住人が「クラス」目的、双方を満たすべく建てられた住宅です。アートコレクターであったルイ・カレは、アート業界の広いネットワークを構築するため、国内から海外までさまざまなお客を招くことができる家を望んでいましたが、同時に、自分と妻のオルガが快適に暮らす隠れ家も欲しいと思っていました。公と私、双方のニーズを満たすために、目的田用途に合わせた部屋や空間が設けられ、さらに使用人のための部屋、アート作品を見せるための部屋なども設けられました。

多様な素材使いは、建築家と施主がともに重視したポイントでした。ひとつひとつは控えめな印象の自然素材でも、あらゆる樹種を重ねることにより、全体として豊かで豪華なムードは生まれます。「バランスこそが唯一にして最大の贅沢である」というルイ・カレのリクエストに見事に応えています。多種多彩な樹種使い、傾斜したスレート(粘板岩)の屋根、赤いセラミックタイル、石の壁はすべてフランスの近隣地域から調達された素材を使用しており、アアルトの特徴的なデザインでもある玄関ホールのアーチ状に波打つ天井は、フィンランド産パイン材(松)を使っています。
 

Maison Louis Carré historical photo Heikki Havas 1

歴史上では、アルヴァ・アアルトの作として高く評価されていますが、彼が単独で手掛けたのではなく、アアルトスタジオの少数精鋭の優れたチームとともに建築やインテリアを仕上げていました。建築家でありデザイナーであったエリッサ・アアルトは、建築の監督だけでなくインテリア全体を主に指揮し、オーク材とタイルの床を覆うウールのカーペットやラグは彼女のデザインです。アルテックのインテリアオフィスのチーフデザイナーであったマイヤ・ヘイキンヘイモは、「ルイ・カレ邸」の家具を担当しました。リビングルームには、アルテックの「アームチェア 45」や「X - レッグ」を応用した家具が選ばれ、加えて、アッシュ材の「コーヒーテーブル ピアノ」や「アームチェア スパゲッティ」が特注で製作されました。特に、木製の弦を成型した「アームチェア スパゲッティ」を、ルイ・カレはたいそう気に入り、「この特別なチェアはあまりにも完璧で、直視できないほどに素晴らしいよ」とアルヴァとエリッサに手紙を送ったほどです。

Maison Louis Carré historical photo Heikki Havas 2

ルイ・カレと妻のオルガは、この新しい家を誇りに思い、広く紹介しました。アアルト夫妻とスウェーデン大使を主賓としたお披露目のパーティーには、フランス国内と海外から350人のゲストが招かれました。「ルイ・カレ邸」のパーティーは、パリのアート業界及び文化人の慣習となり、マルセル・デュシャンや当時のフィンランド首相のウルホ・ケッコネンをはじめとするさまざまな文化人がこのパーティーに参加し、「ルイ・カレ邸」の建築とインテリア、1961年に増築されたガーデンとプールを楽しみました。

MLC Philippe Harden

色と光の調和

パーティーのためだけでなく、ルイ・カレにとっては、パリでの一日の仕事を終えて帰宅し、友人と静かな夕食と会話を楽しむ我が家でもありました。友人はそのまま一晩泊まり、翌日、一緒にまたパリへと戻ることが多かったといいます。アルテックが特別にデザインした16の照明器具は、このような温かく親密なひと時を優しく照らしました。ダイニングルームには、壁にかけられたアート作品にスポットを当てるため、側面を開口した「ペンダント A330S ゴールデンベル」のカスタムバージョンが設置されています。リビングルームには、会話や読書の時間を心地よくすごすために、非対称の「ペンダント A338 ビルベリー」が低い位置に吊るされています。

MLC kaminoto 1
MLC Luxproductions 2

「ルイ・カレ邸」は、シンプルな美しさとともに快適さを重んじるアルテックの哲学を完璧に体現した名作建築であり、同時に、ルイ・カレとオルガ・カレにとっては愛する住まいでした。彼らはフェルナン・レジェやパウル・クレーなどの名画に囲まれて幸せに暮らし、ルイが1977年に亡くなった後も、オルガはその家で穏やかな日々を過ごしました。

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