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アルテックの名作と「カラリン」の出会い

アルテックの名作と「カラリン」の出会い

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フィンランドと日本の100年に渡る深い親交を祝う、「FIN/JPNフレンドシップ コレクション」のひとつとして発表された「カラリン」シリーズは、長坂常が建築家としてデザイナーとして続けてきた挑戦が実を結んだ製品シリーズです。長坂常は、東京を拠点にした建築設計事務所「スキーマ建築計画」を主催する建築家でありデザイナーです。彼の手掛けるプロジェクトは、建築、大規模なインスタレーション、インタラクティブな環境設計、そして家具やプロダクトデザインまで多岐に及びます。彼は、日本古来から今も尚用いられる表面仕上げである「浮造(うづくり)」と漆塗りの技術「津軽塗り」を掛け合わせ、「カラリン」という独自の方法を編み出しました。

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伝統的な技術を現代のデザインへと昇華する
Photo: Schemata Achitects

完成までの道のりは、けして平坦ではありませんでした。 彼は、まず最初にオフィス近くの塗装会社を訪ね、使いかけの水性塗料を何種類か手に入れました。そして、手作業による伝統的な技術を現代のデザインへと昇華すべく、いくつもの試作品作りを重ねました。カラリンシリーズは、表面に木質が比較的柔らかいパイン材突き板を使用しています。まず、木目の柔らかい部分をブラシで削ることにより木目の固い部分を残す浮造り仕上げを施します。あえて表面を不均一に、木目の凹凸がさらに強調されるよう仕上げることで、陰影と豊かな表情が生まれます。その後、津軽塗りの方法を応用し、2色のラッカー塗装を順番に重ねて乾かし、最終的に表面を研磨していきます。その過程を経ることにより、自然の木目にふたつの色が浮かび上がり、まるで地形図のような有機的な曲線を描く模様が現れるのです。

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カラリンの試作品の数々
Photo: Schemata Achitects

カラリンシリーズには、アルテックのスタンダードコレクションより、「スツール 60」、「153 ベンチ」、「901 ティートロリー」がラインナップされています。アルテックは、伝統技術から編み出されたこの革新的な手法を、機械と手作業双方を用いた量産可能な生産方法に落とし込みました。工芸品やアート作品ではなく、プロダクトとして量産可能になったカラリンシリーズは、広く世界へと届けられることになりました。

長坂常はこう語っています。「アルテックとフィンランドの工場とともに取り組んだこのプロジェクトから、私はたくさんのことを学びました。特に、彼らの明快な考え方からは、学ぶべきところが多くありました。」

「日本とフィンランドの世界でも類を見ない親交関係は何に由来すると思いますか」という問いかけに、長坂常は「日本とフィンランド、どちらも寡黙で穏やかな国民性ですね。どちらの国も、自然を愛し、伝統を尊び、さらに、その2つが日々の暮らしに深く結びついています。私達は自然と伝統について同じ価値観を共有しているのではないかと思います。

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